ふるさと納税の返礼品には和牛やワイン、日本酒といった酒類が数多く並びますが、お酒を飲まない人向けにジャンルを整理した情報はあまり見かけません。実は返礼品には「地場産品基準」という総務省告示の要件があり、この基準があるからこそ、産地のノンアルコールビールやクラフトコーラ、果汁ジュース、茶、甘酒といった飲料も返礼品のラインナップに含まれています。この記事では、2026年7月時点で総務省ふるさと納税ポータルサイト等の一次資料から確認できる制度の仕組みと、飲まない人が返礼品を選ぶときに押さえておきたい実務を整理します。控除の上限額は収入や家族構成によって変わるため、金額は各自の条件で確かめる必要があります。

この記事の要点

  • ふるさと納税は寄付額のうち2,000円を超える部分が所得税・住民税から控除される制度で、控除の上限は年収・家族構成・他の控除の状況によって変わります(総務省)
  • 返礼品には「返礼割合3割以下」「地場産品基準」という総務省告示の要件があり、この基準があるため返礼品にはその地域で作られた飲料が並びます
  • ノンアルコールビール、クラフトコーラ、果汁ジュース、茶、コーヒー、炭酸水、甘酒など、飲まない人が選べるカテゴリーも返礼品に含まれています
  • 甘酒は米麹由来と酒粕由来でアルコールの有無が異なるため、返礼品選びでも原材料表示の確認が欠かせません
  • 確定申告が不要になる「ワンストップ特例制度」には、寄付先5自治体以内・申請期限は翌年1月10日必着という条件があります

ふるさと納税とはどんな制度か

総務省の説明によれば、ふるさと納税は自分が選んだ都道府県・市区町村に寄附を行った場合、寄附額のうち2,000円を超える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です(一定の上限があります)。名前に「納税」とありますが、法律上の位置づけは寄附金税制を活用した「寄附」であり、自分の生まれ故郷に限らず、お世話になった自治体や応援したい自治体など、どの自治体を選んでも対象になります。

控除額の計算式そのものは公開されており、所得税からの控除は「(寄附額-2,000円)×所得税の税率」、住民税の基本控除は「(寄附額-2,000円)×10%」で決まります。ただし、控除の対象となる寄附額には所得に応じた上限があり、住民税の特例分についても住民税所得割額の2割を超えない範囲という制約があるため、実際に自己負担が2,000円で収まる寄附額の上限は、年収・家族構成・他の控除の適用状況によって一人ひとり異なります。総務省も「具体的な計算については、お住まいの市区町村にお問い合わせください」としており、上限額を一律の金額として示すことはできません。各ポータルサイトが提供する控除額シミュレーターや、お住まいの市区町村の住民税担当窓口・税務署への確認を通じて、自分の条件での上限を把握してから寄付額を決めるのが確実です。

返礼品にはなぜ地場産品が並ぶのか

2019年6月1日、地方税法等の改正により「指定制度」が導入され、総務大臣が基準に適合すると認めた地方団体のみが、特例控除の対象としてふるさと納税を受け入れられる仕組みになりました。総務省が定める基準は次の3つです。

  1. 寄附金の募集を適正に実施すること(不当な勧誘の禁止、募集に要する費用が寄附額の5割以下であることなど)
  2. 返礼品を送付する場合は、返礼割合を3割以下とすること(返礼品の調達費用が受領した寄附額の30%以下)
  3. 返礼品を地場産品とすること(地場産品基準)

地場産品基準は、その地方団体の区域内で生産されたもの、区域内で原材料の主要な部分が生産されたもの、区域内での加工によって相応の付加価値が生じているものなど、複数の該当類型を告示で定めています。この基準があるため、返礼品カタログにはその自治体・都道府県ゆかりの飲料が並ぶという構造になっているわけです。

なお、総務省は2023年10月1日施行で基準を見直しています。熟成肉・精米については、原材料が同一都道府県内産であるものに限って地場産品と認めることになりました(それまでは県外産の原材料を県内で熟成・精米しただけの製品も地場産品として扱われる例がありました)。また、地場産品と地場産品以外のものを組み合わせて提供する場合は、地場産品の価値が返礼品全体の価値の7割以上であることが要件に加わりました。これらは主に熟成肉や精米を念頭に置いた見直しですが、飲料についても、他地域産の原材料を使った加工品を返礼品にする場合は同様の考え方が適用されます。

飲まない人はどんなカテゴリーの返礼品を選べるか

返礼品カタログの中には、お酒を飲まない人でも「地域を応援する一杯」として選べるカテゴリーがいくつもあります。特定の自治体名・商品名をおすすめするのではなく、選ぶときに見ておきたい観点を整理すると次のようになります。

カテゴリー選ぶときの観点向いている用途
ノンアルコールビールアルコール分表示(0.00%か0.5%前後の微アルコールか)、産地の醸造所かどうか晩酌の代わり、来客時の乾杯
クラフトコーラ・シロップ原材料表示(スパイス・柑橘の産地)、希釈タイプか完成品か炭酸割り、モクテル素材
果汁・ジュース果汁の産地・品種、ストレート果汁か濃縮還元か贈答、食卓の彩り
茶(日本茶・紅茶・ハーブティー)産地・等級、茶葉由来かハーブ由来か(カフェインの有無に関わる)夜のリラックスタイム、来客用
コーヒー産地・焙煎方法、豆かドリップパックか朝の一杯、贈答
炭酸水・ミネラルウォーター産地の水源、無糖かどうか食中・モクテルの割り材
甘酒米麹由来か酒粕由来か(次章で詳述)発酵食品としての栄養補給

この表はカテゴリーと選び方の観点を整理したものであり、特定の自治体・返礼品を推奨するものではありません。実際にどの商品が地場産品基準を満たすかは自治体ごとの申請内容によるため、気になる返礼品があれば各ポータルサイトの商品説明で産地の記載を確認してください。夜に飲むお茶をカフェインの有無で選ぶ考え方は夜に飲めるお茶ガイドで詳しく扱っています。

甘酒の返礼品を選ぶときに注意したいこと

甘酒は「ノンアルコール飲料」として扱われることが多いものの、原料によってアルコールの有無が異なります。農林水産省の説明によれば、甘酒には米麹を発酵させて作るタイプと、酒粕を溶かして作るタイプの2種類があり、ノンアルコールなのは米麹から作るタイプです。一方の酒粕甘酒は、日本酒を搾った後に残る酒粕を溶かして作るため、酒粕自体が平均して約8%程度のアルコールを含むとされ、加熱してもアルコール分を完全にゼロにするのは難しいとされています。

返礼品として甘酒を選ぶ場合も、この違いはそのまま当てはまります。妊娠中・授乳中の人や運転前後にアルコールを避けたい人、体質的にアルコールを受け付けにくい人が甘酒を選ぶときは、返礼品の商品説明やパッケージ表示で「米麹」を使用しているか、あるいはアルコール分の表示自体を確認することが欠かせません。米麹由来と酒粕由来の製法・アルコール量の違いはノンアル日本酒・ノンアル梅酒の世界でも詳しく整理しています。原材料表示を読んでから選ぶという姿勢は、ノンアルコールビールは体に悪い?で整理した「原材料表示を確認する」という視点とも通じるものです。

返礼品はどうやって探せばよいか

飲まない人向けの返礼品を探すときの実務的なポイントは次の通りです。

いずれも各ポータルサイトの商品ページに記載されている情報であり、掲載内容や在庫状況は随時変わるため、寄付前に最新情報を確認する習慣が欠かせません。

ワンストップ特例と確定申告、どちらを使うか

ふるさと納税で控除を受けるには、原則として確定申告が必要ですが、確定申告が不要な給与所得者等は「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を使うことができます。両者の条件は次のように整理できます。

ワンストップ特例制度確定申告
対象者確定申告が不要な給与所得者等制限なし(個人事業主・確定申告が必要な人を含む)
寄付先自治体数5自治体以内(1自治体に複数回寄付しても1団体とカウント)制限なし
手続き寄付のたびに申請書を寄付先自治体へ提出寄付した翌年3月15日までに税務署へ確定申告
申請期限寄付した翌年の1月10日必着翌年3月15日(確定申告期限)
控除の反映先所得税からの控除は行われず、全額が翌年度の住民税から控除される所得税からの還付と、翌年度住民税からの控除の両方に分かれる

ワンストップ特例は、寄付のたびに申請書を提出する必要があり、期限に間に合わなかった場合や6自治体以上に寄付した場合は確定申告を行う必要があります。一部の自治体ではマイナンバーカードを使ったオンライン申請にも対応しているため、対応状況は寄付先自治体に確認してください。

寄付する前に確認しておきたいこと

ふるさと納税で返礼品を受け取る前に、次の点を押さえておきたいところです。

贈り物・お歳暮の代わりとしても使える

ふるさと納税の返礼品は自分用に受け取ることが前提の制度ですが、選び方の発想はお歳暮や贈答品にも応用できます。お酒を贈りにくい相手への高級ノンアルドリンクの選び方は高級ノンアルという選択 — 贈り物にできる一本の選び方で整理しているので、あわせて参考にしてください。

よくある質問

ふるさと納税の控除上限額はどうすればわかりますか?

控除上限額は寄付した人の年収や家族構成、他の控除の適用状況によって変わるため、総務省も一律の金額を示していません。各ポータルサイトが提供する控除額シミュレーターを使うか、お住まいの市区町村の住民税担当窓口・税務署に確認するのが確実です。

ノンアルコール飲料は地場産品基準を満たせますか?

地場産品基準は飲料かどうかを問わず、その地方団体の区域内で生産されたものであること等の要件を満たせば適合します。ノンアルコールビールやクラフトコーラ、果汁ジュースであっても、産地の要件を満たしていれば返礼品として提供されています。

ワンストップ特例の申請期限はいつですか?

寄付した翌年の1月10日必着です。期限を過ぎた場合や、寄付先が6自治体以上になった場合は確定申告が必要になります。

甘酒の返礼品はすべてノンアルコールですか?

いいえ。米麹から作る甘酒はノンアルコールですが、酒粕から作る甘酒は酒粕由来のアルコールが微量残る場合があります。妊娠中・授乳中や運転前は、原材料表示で米麹由来かどうかを確認してください。

返礼品はいつ届きますか?

自治体・返礼品によって異なります。特に果汁ジュースなど季節の収穫に左右される返礼品は、発送まで数か月先になる場合があるため、商品ページの発送時期の記載を確認してから寄付するのが確実です。

まとめ

ふるさと納税は、寄付額のうち2,000円を超える部分が所得税・住民税から控除される制度で、控除の上限は年収・家族構成・他の控除の状況によって一人ひとり異なります。返礼品には総務省告示による「返礼割合3割以下」「地場産品基準」という要件があり、この基準構造のおかげで、飲まない人でもノンアルコールビール・クラフトコーラ・果汁ジュース・茶・コーヒー・炭酸水・甘酒といった産地の飲料を返礼品として選べます。甘酒は米麹由来と酒粕由来でアルコールの有無が異なる点に注意し、確定申告不要のワンストップ特例を使う場合は寄付先5自治体以内・翌年1月10日必着という条件を忘れないようにしてください。控除額の具体的な計算は各自の条件によって異なるため、シミュレーターや自治体・税務署への確認を通じて、自分に合った寄付額を見極めることが、この制度を無理なく活用する近道です。

参考文献

免責事項

本記事は税務・法律のアドバイスではありません。控除額の具体的な計算は寄付した人の年収・家族構成・他の控除の状況によって異なるため、お住まいの市区町村・税務署、または各ポータルサイトが提供するシミュレーターでご確認ください。制度の内容・基準は2026年7月時点で確認できた総務省等の公表情報に基づく整理であり、その後の法改正・運用変更により変わる場合があります。特定の自治体・返礼品・ポータルサイトを推奨するものではありません。本記事で紹介するノンアルコール飲料はアルコール分1%未満の飲料であり、20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。