ノンアル日本酒・ノンアル梅酒は、「発酵させずに香味を再現するタイプ」と「米麹甘酒をベースにするタイプ」に大きく分かれます。いずれもアルコール分0.00%を実現していますが、原材料表示に「酒精」が含まれる製品や、そもそも米麹ではなく酒粕を使ったノンアル系飲料には微量のアルコールが残る場合もあります。この記事では、公開されているメーカー公式情報をもとに、製法・代表的な銘柄・選ぶときの注意点を整理します。

この記事の要点

  • ノンアル日本酒は「香味再現型(足し算型)」と「米麹甘酒ベース型」の2つに大別されます
  • 月桂冠「スペシャルフリー」・白鶴「吟零スパークリング」はいずれもアルコール分0.00%の日本酒テイスト飲料(清涼飲料水)です
  • 米麹甘酒はもともとノンアルコールですが、酒粕甘酒は酒粕(平均約8%のアルコールを含む)由来のため、加熱してもアルコールが完全に飛ばない場合があります(農林水産省)
  • ノンアル梅酒のチョーヤ製品はアルコール分0%表示ですが、商品によっては原材料に「酒精」の記載があるため、購入時は原材料表示も確認するのが確実です
  • 妊娠中・運転前は「アルコール分0.00%」表示に加え、酒粕・酒精を含まない原材料であることをあわせて確認してください

ノンアル日本酒はどうやって造られている?

ノンアル日本酒には、大きく分けて2つの作り方があります。

香味再現型(足し算型): もろみを発酵させる工程を経ず、日本酒らしい香りや旨味を後から配合して再現する製法です。月桂冠は、アルコール分を「引き算」で抜くのではなく、苦味・辛味・渋味などの成分を「足し算」していく発想に転換することで商品化に成功したと公式に説明しています。同社は50種類以上の素材を使い200回以上の試作を重ね、通常の日本酒より多くのアミノ酸を配合することでコクと甘味・深みを再現した「スペシャルフリー」「スペシャルフリー辛口」(いずれもアルコール分0.00%、品目は「日本酒テイスト飲料(清涼飲料水)」)を展開しています。原材料には柚子抽出物やアミノ酸系の調味料、酸味料、ステビアなどの甘味料が使われ、アルコール由来の原材料は使用されていません。

白鶴酒造の「白鶴 吟零 スパークリング」も同様に、発酵を経ないアルコール分0.00%の大吟醸テイストスパークリング飲料です。原材料は果糖ぶどう糖液糖・炭酸ガス・調味料(アミノ酸)・酸味料・香料で、人工甘味料不使用・グルテンフリーを訴求しています。

米麹甘酒ベース型: 日本酒の原料でもある米麹から造る甘酒をベースに、炭酸などを加えて日本酒に近い飲用シーンで楽しめるように仕立てるタイプです。岡山の酒蔵・宮下酒造は、国産米と米こうじで造った甘酒に炭酸を加えた「スパークリングシュワッと泡甘酒」を展開しており、プレーンと地域産レモン果汁を使ったレモンの2種類があります。米麹甘酒は発酵させてもアルコールを生成しない(後述)ため、酒蔵が手がけるノンアルコール飲料の選択肢としても位置づけられます。

なお、蒸留や膜分離でアルコールだけを抜く「脱アルコール型」(ノンアルコールワインで採用例のある減圧蒸留法・逆浸透膜法など)は、ノンアルコールワインでは実用化が進んでいますが、今回確認できた国内のノンアル日本酒の主要銘柄では、香味再現型・米麹甘酒ベース型が中心でした。脱アルコール型の技術詳細はノンアルコールワインはおいしいのか — 脱アルコール製法と選び方で解説しています。

日本酒テイスト飲料が「ノンアルコール」を名乗れるのはなぜ?

日本の酒税法では、酒類は「アルコール分1度以上の飲料」と定義されています(国税庁)。つまりアルコール分が1度(1%)未満であれば、酒税法上の酒類には該当しません。月桂冠「スペシャルフリー」や白鶴「吟零 スパークリング」がアルコール分0.00%と表示しているのは、そもそも発酵の工程を経ていないためで、酒税法の「1%未満」の枠を使うまでもなく、原材料の段階でアルコールが存在しません。この点は、海外の脱アルコールワインに0.5%前後のアルコール分が残る製品があるのとは異なる作り方です。

ノンアル梅酒はどう造られている? — チョーヤのケース

梅酒のノンアルコール版としては、チョーヤ梅酒の「酔わないウメッシュ」と「酔わないThe CHOYA 本格梅酒仕込み」がいずれもアルコール分0%(純アルコール量0g)を公式に表示しています。

「酔わないウメッシュ」は、紀州産の完熟南高梅を100%使用し、独自の「マイクロ粉末製法」で梅の種の成分を配合することで、梅酒特有の深い味わいを再現しています。通常の梅果汁には含まれない種由来の成分を加えることで、酸味料・香料・着色料を使わずに梅酒らしい味を作っているのが特徴です。甘みにはオーガニックのブルー・アガベシロップを使用しています。

一方、「酔わないThe CHOYA 本格梅酒仕込み」は原材料表示に「梅エキストラクト(梅、砂糖、梅種子粉末、酒精)」という形で「酒精」の記載があります。製品全体のアルコール分表示は0%ですが、原材料の一部にエタノール(酒精)を使用した抽出工程が含まれているという点は、商品によって異なる情報として知っておく価値があります。アルコール分0%は最終製品としての測定値であり、原材料に酒精を使っているかどうかは別の情報です。完全にアルコール由来の原材料を避けたい場合は、原材料表示まで確認するか、メーカーに問い合わせるのが確実です。

甘酒はノンアルコール? — 米麹甘酒と酒粕甘酒の違い

甘酒は「ノンアルコール飲料」として扱われることが多いものの、実は原料によってアルコールの有無が異なります。農林水産省の説明によれば、甘酒には米麹を発酵させて作るタイプと、酒粕を溶かして作るタイプの2種類があり、ノンアルコールなのは米麹から作るタイプです。米麹甘酒は、蒸したお米に米麹を加えて60℃前後で一晩ほど保温して作るため、古くは「一夜酒」とも呼ばれてきました。麹の酵素は60℃を超えると働きが弱まるため、温度管理が製法上のポイントになります。

一方の酒粕甘酒は、日本酒を搾った後に残る酒粕を溶かして作ります。酒粕自体には平均して約8%程度のアルコールが含まれているとされ、加熱して沸かしてもアルコール分を完全にゼロにするのは難しいとされています。市販の酒粕甘酒の多くはアルコール分1%未満に抑えられていますが、0.00%ではない製品もあるため、「甘酒だからノンアルコール」と一律に考えるのは避け、原材料表示が「米麹」なのか「酒粕」なのかを確認することが重要です。米麹甘酒ベースのノンアル日本酒テイスト飲料を選ぶ場合も、この原料表示は確認しておくと安心です。

主要銘柄スペック比較表

以下は、公式サイトで確認できた情報をもとにまとめた比較表です。数値や表示内容は変更される場合があるため、購入前に各メーカーの最新情報をご確認ください。

銘柄分類アルコール分表示製法・訴求ポイント品目分類
月桂冠 スペシャルフリー/スペシャルフリー辛口ノンアル日本酒(香味再現型)0.00%もろみを発酵させず、50種以上の素材を配合して大吟醸テイストを再現日本酒テイスト飲料(清涼飲料水)
白鶴 吟零 スパークリングノンアル日本酒(香味再現型)0.00%大吟醸テイストの炭酸飲料。人工甘味料不使用・グルテンフリーノンアルコール飲料
宮下酒造 スパークリングシュワッと泡甘酒米麹甘酒ベース0%国産米と米こうじで造った甘酒に炭酸を追加。プレーン/レモンの2種甘酒(炭酸飲料)
チョーヤ 酔わないウメッシュノンアル梅酒0.00%紀州産完熟南高梅100%。マイクロ粉末製法で種の成分を配合、酸味料・香料・着色料不使用本格梅酒ソーダテイスト飲料
チョーヤ 酔わないThe CHOYA 本格梅酒仕込みノンアル梅酒0%(純アルコール量0g表示)梅エキストラクトに酒精を使用した抽出工程あり。着色料等は不使用本格梅酒テイスト飲料

この表は「どんな製法・原材料か」を整理したものであり、味の優劣を示すものではありません。SHIRAFUは自社ブランドを持たず、特定の商品に偏らない立場で情報を整理することを掲載基準としています。

選び方 — 和食・和のシーンとのペアリング

ノンアル日本酒・ノンアル梅酒を選ぶときは、飲むシーンに合わせて考えると選びやすくなります。

食中酒として和食に合わせたい人: 香味再現型の日本酒テイスト飲料は、うま味やコクを意識して設計されているため、刺身や煮物など和食の食中酒の代役として使いやすい傾向があります。冷やして、あるいは料理に合わせて常温でと、通常の日本酒と同様の温度帯で試してみるのも一つの方法です。

炭酸の爽快感を求める人: 白鶴「吟零 スパークリング」や宮下酒造の「スパークリングシュワッと泡甘酒」のように炭酸を加えたタイプは、乾杯や食前酒的なシーンに向いています。

梅酒ソーダの代わりを探している人: チョーヤのノンアル梅酒は、居酒屋の梅酒ソーダに近い飲用感を意識した設計です。夏場や会食シーンでの一杯の選択肢になります。

甘酒として発酵食品の要素を取り入れたい人: 米麹甘酒ベースの製品は、日本酒テイスト飲料というより発酵飲料・栄養補給としての側面が強く、朝や運動後など別のシーンでも使いやすい選択肢です。

妊娠中・運転前に知っておきたい注意点

妊娠中や運転前など、アルコールを完全にゼロにしたい場面では、「アルコール分0.00%」または「0%」と明記された製品を選ぶことが基本です。今回確認した月桂冠・白鶴・チョーヤの各製品はいずれもアルコール分0%系の表示でしたが、原材料表示に「酒精」が含まれる商品(酔わないThe CHOYA 本格梅酒仕込みなど)もあるため、原材料の由来まで気にする場合は原材料表示を確認するか、メーカーに直接問い合わせることをおすすめします。

甘酒については特に注意が必要です。米麹甘酒はノンアルコールですが、酒粕を使った甘酒(酒粕甘酒)は、市販品の多くがアルコール分1%未満に抑えられているものの、酒粕由来のアルコールが完全にゼロとは限りません。妊娠中や授乳中、運転前に甘酒を選ぶ場合は、パッケージの原材料表示で「米麹」を使用しているか、あるいはアルコール分の表示自体を確認してください。

厚生労働省をはじめとする公的機関は、妊娠中のアルコール摂取は胎児への影響が懸念されるため、微量であっても避けることが望ましいとしています。判断に迷う場合は、購入店やメーカーへの問い合わせが確実です。運転前についても、道路交通法上の酒気帯び運転の基準は微量のアルコールでも該当し得るため、原材料に酒精や酒粕を含む製品は避け、アルコール由来原料を使わない製品を選ぶのが安全です。

ノンアルドリンク全体の選び方や代わりの一杯の考え方は大人のノンアル完全ガイド、ワインの脱アルコール製法との比較はノンアルコールワインはおいしいのか — 脱アルコール製法と選び方、微量アルコールを含む「微アル」製品全般の注意点は微アル(0.5%)とは?ノンアルとの違いと知っておくべき注意点もあわせてご覧ください。

よくある質問

ノンアル日本酒は本当にアルコール0%ですか?

今回確認した月桂冠「スペシャルフリー」、白鶴「吟零 スパークリング」はいずれもアルコール分0.00%表示です。ただし製品によっては原材料に酒精(エタノール)が使われている場合があるため、原材料由来のアルコールが気になる場合は原材料表示も確認してください。

ノンアル日本酒とノンアル梅酒の作り方はどう違いますか?

統一された業界基準はありませんが、ノンアル日本酒は発酵させずに香味成分を配合する「香味再現型」や米麹甘酒をベースにするタイプが中心です。ノンアル梅酒は、梅の果汁や梅の種の成分(梅エキストラクトなど)を配合して梅酒らしい味わいを再現する製法がとられています。

甘酒はすべてノンアルコールですか?

いいえ。米麹から作る甘酒(米麹甘酒)はノンアルコールですが、酒粕から作る甘酒(酒粕甘酒)は酒粕由来のアルコールが微量残る場合があります。市販品の多くはアルコール分1%未満に抑えられていますが、0.00%とは限らないため、原材料表示を確認する必要があります(農林水産省)。

ノンアル日本酒はどこで買えますか?

月桂冠「スペシャルフリー」はメーカーのオンラインショップなどで購入できます。白鶴「吟零 スパークリング」や宮下酒造の甘酒商品は、各メーカーの公式オンラインショップのほか、取り扱う小売店で購入できる場合があります。取り扱い状況は変動するため、購入前に各メーカーの公式サイトをご確認ください。

運転前に飲んでも大丈夫ですか?

アルコール分0.00%または0%と明記され、原材料にも酒精・酒粕などアルコール由来の成分が含まれない製品であれば、通常はアルコールによる酩酊は起こりません。ただし原材料に酒精の記載がある製品や、酒粕を使った甘酒は、念のため運転前を避けるか、メーカーに確認することをおすすめします。

まとめ

ノンアル日本酒は、発酵させずに香味成分を配合する「香味再現型」と、米麹甘酒をベースにする「米麹甘酒ベース型」に大きく分かれます。月桂冠「スペシャルフリー」や白鶴「吟零 スパークリング」はいずれもアルコール分0.00%の日本酒テイスト飲料で、原材料にもアルコール由来の成分は使われていません。ノンアル梅酒のチョーヤ製品もアルコール分0%系の表示ですが、商品によって原材料に酒精の記載があるものとないものがあります。また、甘酒は米麹甘酒ならノンアルコールですが、酒粕甘酒には微量のアルコールが残る場合があるため、「甘酒だから安心」と一律に考えず、原材料表示を確認する習慣が重要です。妊娠中や運転前など完全にアルコールをゼロにしたい場面では、アルコール分の表示と原材料表示の両方を確認し、迷った場合はメーカーに問い合わせてください。

参考文献