微アル(微アルコール)とは、アルコール分1%未満のごく低い度数に仕上げた飲料のことです。酒税法上は「アルコール分1度未満」のため酒類には該当しませんが、アルコールがゼロではないという点が0.00%表記のノンアルコール飲料との決定的な違いです。運転前や妊娠中など、避けるべき場面を正しく知っておく必要があります。体内でアルコールが抜けるまでの時間はアルコール分解時間の目安で解説しています。

この記事の要点

  • 微アルとは、アルコール分1%未満(代表的な製品は0.5%前後)の飲料。酒税法上は酒類ではありませんが、アルコール分はゼロではありません
  • 0.00%表記のノンアルとは異なり、微アルは飲用後の運転が飲酒運転に該当し得ます
  • 20歳未満・妊娠中・アルコールに弱い人・断酒中の人は、微アルではなく0.00%表記の製品を選ぶことが推奨されます

微アルとは何か — 酒税法上の位置づけ

国税庁の定義によると、酒税法上の「酒類」とは、アルコール分1度以上の飲料を指します。裏を返せば、アルコール分が1度(1%)未満の飲料は、たとえアルコールを含んでいても酒税法上は酒類に該当しません。微アルと呼ばれる製品の多くは、この「1%未満」という枠の中で、あえて0%ではなくわずかにアルコールを残した設計になっています。

代表的な製品が、2021年にアサヒビールが発売した「アサヒ ビアリー」です。アルコール度数0.5%のビールテイスト飲料で、ベースとなるビールを通常どおり醸造したあと、独自の脱アルコール工程でアルコール分を除去する製法により、発酵由来の香りやコクを残しつつ0.5%に仕上げています。アサヒビールは、この製品を「スマートドリンキング」(飲む人・飲まない人、飲みたい時・飲めない時など、それぞれの状況に応じた飲み方の多様性を受容する考え方)の選択肢の一つと位置づけて展開しています。

微アルという呼び方に法律上の明確な定義があるわけではなく、企業によって「微アルコール」の指す度数の幅には多少の違いがあります。ただし、実務上は「1%未満だがゼロではない」度数の飲料を指す言葉として広く使われています。

0.00%表記のノンアルとの違い

微アルとノンアル(0.00%表記)は、パッケージの見た目が似ていることもあり混同されやすいですが、中身は明確に異なります。

項目微アル(例: 0.5%)ノンアル(0.00%表記)
アルコール分微量に含む(1%未満)検出限界未満(0.00%)
酒税法上の扱い酒類ではない酒類ではない
運転前の飲用避けるべき(飲酒運転に該当し得る)通常は問題にならない
妊娠中の飲用避けるべき避けるべき(念のため)
20歳未満の飲用不可(自主基準で明記)業界の自主基準で20歳以上を対象と想定

酒税法上はどちらも「酒類ではない」という扱いで共通していますが、体内に入るアルコールの量はゼロかゼロでないかで根本的に違います。パッケージに書かれた「0.5%」「0.00%」といった数値表示を必ず確認することが、選ぶ際の最初のポイントです。

運転前は避けるべき理由

微アルで最も注意が必要なのが、運転前の飲用です。一般社団法人日本ノンアルコールビール協会は、微アルコール飲料には実際にアルコールが含まれているため、運転前は避けるべきだと指摘しています。アルコール検知器は呼気中のエタノール成分を測定する仕組みのため、飲む量・体格・体質・飲用からの経過時間によっては、微アルを飲んだあとの呼気からアルコールが検出され、酒気帯び運転に問われる可能性があります。

「ノンアルコール売り場に置いてあったから大丈夫」という自己判断は禁物です。同じ売り場・似たパッケージでも、度数表示が「0.00%」なのか「0.5%」など1%未満のプラスの数値なのかで、運転前に飲めるかどうかがまったく変わります。運転の予定がある日は、必ず度数表示を確認し、0.00%表記の製品を選んでください。

20歳未満・妊娠中・断酒中の人への配慮

微アルは「酒類ではない」扱いであっても、アルコールを含む飲料である以上、飲む人を選びます。

20歳未満: 酒類の広告審査委員会の自主基準では、ノンアルコール飲料・微アルコール飲料ともに20歳以上の飲用を前提とした表示・広告を行うことが定められており、20歳未満の者を広告に起用したり、20歳未満の飲用を連想・誘引する表現を行ったりしないことが規定されています。微アルは酒類ではないという理由だけで20歳未満が飲んでよいものではありません。

妊娠中: 厚生労働省は、妊娠中・授乳中のアルコール摂取について「安全な摂取量はない」という立場を明確にしています。少量でも胎児への影響が指摘されており、妊娠に気づいた時点で完全にお酒をやめることが推奨されています。微アルもアルコールを含む飲料である以上、この対象に含まれると考えるのが妥当です。

アルコールに弱い人・断酒中の人: 断酒や減酒に取り組んでいる人にとって、微アルは「ゼロではない」という点そのものがリスクになり得ます。わずかな量でも飲酒の感覚や習慣を呼び覚まし、再飲酒のきっかけになる可能性があるためです。実際、酒類の広告自主基準でも、禁酒・断酒者や妊産婦をマーケティングの対象にしないことが定められています。断酒・減酒中の代わりの一杯を探している場合は、微アルではなく0.00%表記の製品や、大人のノンアル完全ガイドで紹介しているノンアルコール・モクテルなどの選択肢を検討することをおすすめします。

どんな人・シーンに向くか

微アルは万人向けというより、次のような人・場面に向いた選択肢です。

逆に、運転の予定がある日、妊娠中、20歳未満、断酒・減酒に取り組んでいる人にとっては、微アルではなく0.00%表記のノンアルコール製品を選ぶほうが安全です。銘柄ごとの比較はノンアルコールビールの選び方と比較にまとめています。

よくある質問

微アルを1本飲んだだけでも飲酒運転になりますか?

飲む量・体格・体質・経過時間によって呼気中のアルコール濃度は変わるため、「1本なら絶対に問題ない」とは言い切れません。一般社団法人日本ノンアルコールビール協会も、微アルコール飲料を飲んだあとの運転は避けるべきだとしています。運転の予定がある日は、そもそも度数表示が0.00%の製品を選ぶのが確実です。

微アルは酒税法上、お酒に分類されますか?

分類されません。国税庁の定義では、酒類とはアルコール分1度以上の飲料を指すため、1%未満の微アルは酒税法上の酒類には該当しません。ただし、アルコールが含まれていないという意味ではない点に注意が必要です。

20歳未満でも微アルなら飲んでよいのですか?

いいえ。微アルは酒類ではありませんが、アルコールを含む飲料です。業界の自主基準でも20歳以上の飲用を前提とした表示・広告が定められており、メーカー各社も20歳未満の飲用をおやめくださいと明記しています。

微アルとノンアルはどちらがビールの味に近いですか?

味の感じ方には個人差があり、SHIRAFUでは実測の試飲評価をまだ行っていないため断定的な比較はできません。製法としては、微アルの代表例であるアサヒビアリーのように、通常のビールを醸造したあと脱アルコール工程を経る製品は、発酵由来の香りやコクが残りやすい傾向があるとされています。

断酒中でも微アルなら飲んでいいですか?

慎重になるべきです。微アルはアルコールをわずかに含むため、断酒・減酒に取り組んでいる人にとっては再飲酒のきっかけになり得ます。代わりの一杯を探している場合は、アルコール分0.00%の製品や、ノンアルコールカクテル(モクテル)などアルコールを一切含まない選択肢をおすすめします。断酒を継続するための工夫は断酒が続かない7つの共通点と対策も参考にしてください。

まとめ

微アルは、酒税法上は酒類に該当しない一方で、アルコール分1%未満のごく少量のアルコールを含む飲料です。0.00%表記のノンアルとは異なり、運転前の飲用は飲酒運転に該当し得るため避けるべきであり、20歳未満・妊娠中・断酒や減酒に取り組んでいる人も、微アルではなく0.00%表記の製品を選ぶことが推奨されます。度数表示を必ず確認したうえで、自分の状況に合った一杯を選んでください。

医療機関への相談について — 飲酒のコントロールが難しいと感じる場合や、断酒中に再飲酒への不安がある場合は、自己判断で抱え込まず、保健所・精神保健福祉センター・依存症専門医療機関・減酒外来など専門機関にご相談ください。本記事は医療アドバイスではありません。

参考文献