「アダプトゲンドリンク」という言葉を、ノンアルコール飲料の成分表やSNSで見かける機会が増えています。ロディオラや高麗人参、霊芝といったハーブ・植物由来の成分を配合し、お酒の代わりの一杯として、あるいは乾杯そのものの体験を置き換えるドリンクとして注目されているジャンルです。ただし、配合される素材は国内での扱い(食薬区分)がそれぞれ異なり、「海外で話題だから」「アダプトゲン配合だから」というだけで選ぶと、規制上の落とし穴にはまることもあります。この記事では、アダプトゲンドリンクというジャンルの位置づけと、素材・カフェイン・シーンという3つの観点からの選び方、そして家庭で作れる合法な素材のドリンクの考え方までを整理します。アダプトゲンという概念そのものの定義や研究の到達点はアダプトゲンとは?種類と研究の現在地で詳しく解説しています。
この記事の要点
- アダプトゲンドリンクは、海外ではKin Euphoricsのように「乾杯の儀式」そのものを置き換える価値提案として広がってきたジャンルです
- 選ぶときは「配合素材が国内で食品として扱えるか(食薬区分)」「カフェインの有無」「味・シーン」の3つの観点で見るのが実用的です
- 厚生労働省の食薬区分リストでは、ロディオラ・高麗人参・霊芝・マカ・ヤマブシタケは食品として扱える素材に分類されています
- アシュワガンダは国内では「専ら医薬品」に分類され食品として販売できず、海外製品を個人輸入する場合は数量制限や医薬品該当のリスクに注意が必要です
- アダプトゲン成分の効果は研究段階のものが多く、特定製品の効能効果を保証する情報ではありません
アダプトゲンドリンクとは何か — 「乾杯の儀式」を置き換えるという価値提案
アダプトゲンドリンクとは、アダプトゲンと呼ばれるハーブ・植物由来の成分を配合したノンアルコール飲料の総称です。厳密な業界定義があるわけではなく、ロディオラや高麗人参などの単一成分を強調した製品から、複数の成分を組み合わせた機能性飲料まで、幅の広いジャンルとして扱われています。
このジャンルが海外で広がった背景には、単なる「ノンアルコールの代替品」を超えた価値提案があります。米国のKin Euphoricsは、その代表例です。同社は創業者のJen Batchelor氏がテキサス州オースティンで立ち上げたブランドで、2018年末に正式ローンチしました。同社はアダプトゲンやノートロピック(認知機能に働きかけるとされる成分)、ボタニカルを組み合わせた飲料を「Euphorics」という独自のカテゴリーとして位置づけ、「乾杯という社交の儀式」を、アルコールなしで再現することをコンセプトに掲げています。海外のアダプトゲンドリンク市場の詳しい動向はKin Euphoricsに見る海外のアダプトゲンドリンク市場で解説しています。
日本国内でも、機能性成分を配合したノンアルコール飲料は「代わりの一杯」の選択肢の一つとして少しずつ広がっています。ノンアルビールやモクテル、CBDドリンクなど他ジャンルとの位置づけの違いは、大人のノンアル完全ガイドで整理した7ジャンルの中の「機能系」に該当します。アダプトゲンドリンクを選ぶ際に大切なのは、「海外のブランドが掲げるコンセプト」と「配合される個々の素材が国内でどう扱われるか」を分けて考えることです。次章から、その具体的な観点を見ていきます。
アダプトゲンドリンクを選ぶ3つの観点
アダプトゲンドリンクを選ぶときに整理しておきたい観点は、次の3つです。
1. 素材が国内で合法に扱えるか(食薬区分) — アダプトゲンと呼ばれる成分の中には、国内では食品として販売できないものがあります。パッケージの原材料表示を確認し、次章の早見表と照らし合わせる習慣が欠かせません。
2. カフェインの有無 — アダプトゲンドリンクは、抹茶や緑茶をベースにしたものと、ハーブティーやスパークリングウォーターをベースにしたものに分かれます。夜遅い時間に飲むなら、カフェインを含まないベースを選ぶことが重要です。
3. 味・シーン — 苦味の強い霊芝ベースのものから、飲みやすいフルーツフレーバーのものまで味の幅は広く、乾杯用に持ち出せる見た目のものから、ひとりの夜にじっくり味わうものまでシーンも様々です。
CBDドリンクを選ぶ際にCOA(成分分析書)の確認が重要であるのと同様に(CBDドリンクという夜の選択肢参照)、アダプトゲンドリンクでも「何が」「どのくらい」入っているかを表示から確認する姿勢が土台になります。
配合素材は国内で合法に使えるか — 食薬区分早見表
日本では、食品と医薬品の境界を「食薬区分」という厚生労働省の基準で判断しています。厚生労働省が公開している成分リストを確認すると、アダプトゲンドリンクによく使われる素材の扱いは次のように整理できます(2026年7月16日時点の公開リストによる)。
| 素材 | 学名 | 食薬区分上の扱い | リスト記載の使用部位 |
|---|---|---|---|
| ロディオラ(イワベンケイ) | Rhodiola rosea | 食品として扱える(非医薬品リスト掲載) | 地上部全体 |
| 高麗人参(オタネニンジン) | Panax ginseng | 食品として扱える(非医薬品リスト掲載) | 根・根茎・葉・果実 |
| 霊芝(レイシ、マンネンタケ) | Ganoderma lucidum | 食品として扱える(非医薬品リスト掲載) | 子実体(胞子を含む) |
| マカ | Lepidium meyenii | 食品として扱える(非医薬品リスト掲載) | 根 |
| ヤマブシタケ | Hericium erinaceus | 食品として扱える(非医薬品リスト掲載) | 子実体 |
| アシュワガンダ(ウィザニア) | Withania somnifera | 専ら医薬品リストに掲載 → 国内で食品としての製造販売不可 | 地上部全体 |
ロディオラ・高麗人参・霊芝・マカ・ヤマブシタケの5素材は、いずれも厚生労働省の「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」に掲載されており、医薬品的な効能効果を表示しない限り、食品として扱うことができます。一方、アシュワガンダは「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に掲載されており、国内では食品(サプリメントやドリンクを含む)として製造・販売することが認められていません。この点はアダプトゲンの基礎知識としても詳しく解説していますが、アダプトゲンドリンクを選ぶ場面では特に重要な違いになるため、ここでも改めて整理しました。食薬区分の対象品目は随時見直されるため、購入前に最新の公的情報も確認することをおすすめします。
カフェインの有無で選ぶ
アダプトゲンドリンクは、ベースとなる飲料によってカフェインの有無が大きく変わります。抹茶や緑茶、烏龍茶をベースにした製品にはカフェインが含まれる一方、ハーブティーやスパークリングウォーター、白湯をベースにした製品は、使用する素材(前章の5素材はいずれもそれ自体にカフェインは含まれません)によってはノンカフェインで作ることができます。
日中の集中したい時間に飲みたいのか、夜の就寝前に飲みたいのかによって、選ぶべきベースは変わります。就寝前に飲む場合は、パッケージの成分表示でカフェインの記載がないことを確認するか、後述するように自分でノンカフェインの素材からドリンクを作るのが確実です。
家庭で作れるアダプトゲン系ドリンクの考え方
市販のアダプトゲンドリンクだけでなく、前章の食薬区分早見表で「食品として扱える」ことを確認した5つの素材は、家庭でもお茶やラテとして作ることができます。いずれも既製品として乾燥スライス・ティーバッグ・パウダー・エキスの形で流通しているものが中心です。
| ジャンル | 使う素材の形態 | 作り方の目安 | カフェイン |
|---|---|---|---|
| ロディオラティー | 乾燥根のエキス・ティーバッグ | 熱湯で抽出するハーブティーとして | 含まない |
| 高麗人参茶 | 乾燥スライス・参茶ティーバッグ | 煮出すか、お湯を注いで | 含まない |
| 霊芝茶 | 子実体のスライス・ティーバッグ | 煮出して、苦味が強いためはちみつ等と合わせることが多い | 含まない |
| マカラテ | パウダー | 温めた牛乳・豆乳・オーツミルクに溶かして | 使用するミルクによる(乳・豆乳・オーツミルク自体はカフェインを含まない) |
| ヤマブシタケラテ | パウダー・エキス | コーヒーの代わりに温かいミルクや白湯に溶かして | 同上 |
家庭で作る際に大切なのは、既製品と同じく「原材料表示」と「摂取量の目安」を確認することです。特に霊芝は苦味が強く、初めて試す場合は少量から始めるのがおすすめです。また、これらの素材を組み合わせて自分なりのブレンドを作る楽しみ方もありますが、複数の素材を同時に多量に摂取することの安全性については十分なデータがないため、まずは単一の素材から試し、体調の変化を見ながら量を調整することをおすすめします。
規制の注意点 — アシュワガンダ配合の海外製品を個人輸入する場合
アダプトゲンドリンクの中には、海外ブランドの製品でアシュワガンダを配合したものが少なくありません。前述の通り、アシュワガンダは国内の食薬区分上「専ら医薬品」に分類されており、国内で食品として製造・販売することは認められていません。そのため、アシュワガンダ配合のドリンクを国内で入手しようとすると、海外通販サイトからの個人輸入という形を取ることになる場合があります。
厚生労働省の案内によれば、個人が自己使用の目的で医薬品等を輸入する場合、処方箋によらない内服薬については「用法用量からみて2ヶ月分以内」の数量であれば、輸入確認証の交付を受けずに輸入できる範囲とされています(毒薬・劇薬・処方箋薬に該当するものは1ヶ月分以内)。ただし同省は、海外で食品(サプリメントを含む)として販売されている製品であっても、医薬品成分が含まれていたり医薬品的な効能効果が表示されていたりする場合は、日本では医薬品に該当することがあると案内しています。アシュワガンダのように国内で「専ら医薬品」とされる成分を含む製品は、数量の範囲内であっても医薬品該当性が問題になり得るため、「個人輸入だから確実に問題ない」とは言い切れない点に注意が必要です。詳しい規制の解説はアダプトゲンの日本国内における法規制で扱っています。
購入・輸入を検討する場合は、最新の公的情報を確認するか、地方厚生局などの窓口に相談することをおすすめします。本節の情報は2026年7月16日時点の公開情報に基づいています。数量基準や取り扱いは今後見直される可能性があるため、購入前に必ず最新情報を確認してください。
国内でアダプトゲンドリンクはどこで買えるのか
国内のアダプトゲンドリンク市場は、CBDドリンクと同様、ノンアルコール飲料全体の中ではまだ発展途上のジャンルです。コンビニエンスストアでの取り扱いは限定的で、健康食品専門店やオンラインストアでの購入が中心となっています。CBDドリンクを選ぶ際と同様に、アダプトゲンドリンクを選ぶ際も、原材料表示・使用量の記載・販売元の情報が明確な製品かどうかを確認する姿勢が欠かせません。
よくある質問
アダプトゲンドリンクを飲むとリラックスできますか?
アダプトゲンと呼ばれる成分の多くは研究段階にあり、リラックス効果を断定的に語ることはできません。「〜という報告がある」という距離感で捉えることをおすすめします。
カフェインなしのアダプトゲンドリンクはありますか?
ロディオラ・高麗人参・霊芝・マカ・ヤマブシタケはいずれもそれ自体にカフェインを含まないため、ハーブティーやスパークリングウォーター、ミルクをベースにすればノンカフェインで作ることができます。市販品を選ぶ場合は成分表示でベースの飲料とカフェインの記載を確認してください。
アシュワガンダ配合の海外製ドリンクは飲んでも大丈夫ですか?
アシュワガンダは国内の食薬区分上「専ら医薬品」に分類されており、国内で食品として販売することは認められていません。個人輸入を検討する場合は、数量制限や医薬品該当性のリスクを理解した上で、慎重に判断してください。
妊娠中・服薬中でも飲めますか?
アダプトゲンと呼ばれる成分の中には、妊娠中・授乳中の安全性が十分に確立されていないものや、医薬品との相互作用が指摘されているものがあります。持病で通院中の方、服薬中の方、妊娠中・授乳中の方は、使用前に必ず医師にご相談ください。
家で作るなら、どの素材から始めるのが簡単ですか?
高麗人参茶やマカラテは味の癖が比較的少なく、初めて試す場合に取り入れやすい選択肢です。霊芝は苦味が強いため、慣れてから試すのがおすすめです。
まとめ
アダプトゲンドリンクは、海外ではKin Euphoricsのように「乾杯の儀式」そのものを置き換える価値提案として広がってきたジャンルです。国内で選ぶ際は、配合される素材が食薬区分上どう扱われるかを確認することが土台になります。厚生労働省の食薬区分リストでは、ロディオラ・高麗人参・霊芝・マカ・ヤマブシタケは食品として扱える素材である一方、アシュワガンダは「専ら医薬品」に分類され国内での食品としての製造販売が認められていません。市販品を選ぶときも、家庭でお茶やラテとして作るときも、「何が」「どのくらい」入っているかを確認し、効果を断定的に捉えず研究段階の成分であることを踏まえて選ぶ姿勢が、安心してこのジャンルを楽しむための基本になります。
参考文献
- 厚生労働省「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」(別添2) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000086062_1.pdf
- 厚生労働省「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(別添3) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000086063_1.pdf
- 厚生労働省「医薬品等の個人輸入について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/topics/tp010401-1.html
- Kin Euphorics公式サイト「About」 https://www.kineuphorics.com/
- The Business of Business「Kin Euphorics CEO is reinventing happy hour in the growing non-alcoholic market」 https://www.businessofbusiness.com/articles/kin-euphorics-ceo-jen-batchelor-interview/
免責事項
本記事は医療アドバイスではありません。アダプトゲンと呼ばれる成分の効果には研究段階のものが多く、特定の症状の治療や予防を目的とした情報ではありません。持病で通院中の方、服薬中の方、妊娠中・授乳中の方は、使用前に必ず医師にご相談ください。国内での成分の取り扱いや個人輸入に関する規制は法改正等により変わる可能性があるため、購入・輸入前に最新の公的情報をご確認ください。本記事に登場する特定ブランド名は、市場動向を説明する目的で言及したものであり、製品の効能効果を保証するものではありません。