ノンアルジン(ノンアルコールジン)は、アルコールを一度も生成せずにボタニカルを蒸留・抽出して作る、蒸留酒の代わりになる一杯です。ノンアルコールビールが「造ってからアルコールを抜く」製法を含むのに対し、ノンアルジンの多くは最初からアルコールを経由しません。この記事では、世界的な発祥からNEMA(ネマ)など国内で入手できるブランドの公開情報、価格が高めな理由、飲み方と選び方までを一次資料ベースで整理します。

この記事の要点

  • ノンアルジンは2015年に英国で登場した「Seedlip(シードリップ)」が世界初の蒸留ノンアルコールスピリッツとされます
  • 製法はボタニカルの蒸留・抽出が中心で、ノンアルビール・ワインの「脱アルコール式」とは異なります
  • 国内ではNEMA・GINNIE・THE HERBALIST YASOなど、公式サイトで製法や原材料を公開しているブランドがあります
  • 500mlあたり2,800〜3,400円台が中心で、ノンアルビールより高価格帯です
  • 飲み方の定番はトニックウォーター割り(ノンアルジントニック)です

ノンアルジン・ノンアルスピリッツとは何か

ノンアルスピリッツという言葉を世界的に広めたのは、2015年にロンドンのセルフリッジズで発売された英国ブランド「Seedlip」です。Seedlip公式サイトによると、創業者のベン・ブランソン氏は17世紀の医師ジョン・フレンチが著した蒸留レシピ書に着想を得て、自宅の庭で育てた植物を小型の銅製スティルで蒸留する実験から開発を始めたとされています。ロンドンの高級レストランで提供された「砂糖の多いピンク色のノンアルコールドリンク」に満足できなかったことが開発のきっかけだったとも説明されています。Seedlipは「世界初の蒸留ノンアルコールスピリッツ」を掲げ、2019年にはDiageo社が過半数株式を取得しています。

この「アルコールを経由せず、ボタニカルの蒸留・抽出だけで香りを組み立てる」という考え方が、ノンアルジンというジャンルの基本形になっています。日本語では「ノンアルジン」「ノンアルコールスピリッツ」の両方が使われますが、指しているものはほぼ同じです。大人のノンアル完全ガイドで紹介した7ジャンルのうち、「ノンアルスピリッツ」枠にあたります。

どうやって作られている?(製法)

ノンアルジンの製法は、ノンアルビールやノンアルワインとは根本的に異なります。ビールやワインの「脱アルコール式」は、一度お酒を発酵させたあとで蒸留などによりアルコール分を取り除く製法です。これに対しノンアルジンの多くは、最初からアルコールを含む液体を造らず、ジュニパーベリーやハーブ・柑橘などのボタニカルを個別に蒸留・浸漬し、それぞれの芳香成分だけを抽出してブレンドします。

国内ブランドの公式情報でも、この考え方が確認できます。新潟県上越市発のノンアルコールジンブランド「THE HERBALIST YASO」は、ジュニパーベリーとラベンダーなどのボタニカルを減圧蒸留器で低温蒸留し、香りを抽出する製法を公式に説明しています。低温での蒸留は、熱に弱い香り成分を壊さずに引き出すための工夫です。「ノンアルコールスピリッツの世界的潮流」を扱う業界解説記事でも、ボタニカルを個別に扱い、複雑な蒸留・ブレンド・フレーバー抽出の工程を経ることが、通常のノンアルコール飲料より手間のかかる製法だと説明されています。

日本で買えるノンアルジンにはどんなブランドがある?

海外発のSeedlipに続き、国内でも公式サイトで製法や原材料を公開しているブランドが増えています。ここでは公式情報が確認できる3ブランドを紹介します。実際の風味の優劣を断定する試飲評価ではなく、公開スペックの比較です。

ブランド拠点主なボタニカル参考価格(500ml)
NEMA 0.00%横浜市中区(2018年発売)農薬不使用のバラ2種、ジュニパーベリー、ラベンダー、八ヶ岳山麓の湧き水3,200円(スタンダード)
GINNIE東京ジュニパーベリーを含む6種のハーブ、ジャスミン茶、クロモジ、橙3,200円
THE HERBALIST YASO新潟県上越市ジュニパーベリー、ラベンダー、レモン、モミの葉、シナモン等3,348円

NEMAは公式サイトで「日本初のノンアルコールジン」と謳っており、2018年からバーテンダーが開発したブランドとして展開されています。GINNIEはジュニパーベリーに加えクロモジや橙、ジャスミン茶といった和の素材を組み合わせているのが特徴です。THE HERBALIST YASOは前述の通り減圧・低温蒸留を採用し、ラベンダー畑を思わせる香りを打ち出しています。いずれも公式サイトで原材料・アルコール分0.00%であることを確認できるので、購入前は必ず公式ページの表示をチェックしてください。

どうやって飲む?

ノンアルジンの最も定番の飲み方は、通常のジンと同じくトニックウォーターで割る「ノンアルジントニック」です。THE HERBALIST YASOも公式に、トニックウォーターと合わせることで甘み・酸味・苦みが加わり飲みやすくなるとしています。氷をたっぷり入れたグラスにノンアルジンを注ぎ、トニックウォーターで満たし、柑橘やハーブを添えるだけで、バーで出てくるような一杯になります。

比率の目安はジン1に対してトニックウォーター3〜4程度から始め、香りの強さに応じて調整するとよいでしょう。ソーダ水で割ればより軽い口当たりになり、炭酸を使わずロックでそのまま楽しむ飲み方を提案しているブランドもあります。フルーツやハーブを加えたモクテルのベースとして使う楽しみ方については、モクテル入門ガイドで詳しく解説しています。

なぜノンアルスピリッツは高いのか?

その価格帯ゆえに、ノンアルスピリッツは贈り物にできる一本としても選ばれ始めています。

ノンアルジンは500mlあたり2,800〜3,400円台が中心で、コンビニで買えるノンアルビール(350ml缶で200円前後)と比べると単価が高く感じられます。この価格差の背景には、製法の手間があります。

前述の通り、ノンアルジンの多くはボタニカルを1種類ずつ蒸留・浸漬し、それぞれの香り成分を抽出してからブレンドする工程を踏みます。通常のジン造りが「複数のボタニカルをまとめて一度に蒸留する」ことが多いのに対し、ノンアルジンでは個別処理や低温・減圧蒸留といった追加の工程が必要になるケースが多く、これが製造コストを押し上げる要因になっています。また、多くのブランドが小規模生産である点も、単価に影響していると考えられます。

ノンアルジンの選び方

はじめての1本を選ぶときは、次の3点を確認すると失敗が少なくなります。

なお、ノンアルコールと表示された製品であっても、見た目やパッケージがお酒に近いことから20歳未満の方への飲用は推奨されません。運転前や妊娠中・体質面で不安がある場合も、0.00%表示であることを重ねて確認してください。会食の場での注文の仕方に迷う場合は、飲み会の断り方15選も参考にしてください。

よくある質問

ノンアルジンとノンアルコールビールは何が違いますか?

ノンアルビールの多くは、一度アルコールを含む状態を経てから取り除く「脱アルコール式」を含みますが、ノンアルジンの多くは最初からアルコールを生成せず、ボタニカルの蒸留・抽出だけで香りを組み立てます。

ノンアルジンは未成年でも飲めますか?

アルコール分0.00%であれば酒税法上の酒類には該当しませんが、見た目や文脈がお酒に近い製品のため、SHIRAFUでは20歳未満の方への飲用を推奨していません。

ノンアルジンはどこで買えますか?

NEMA・GINNIE・THE HERBALIST YASOなど各ブランドの公式オンラインストアのほか、取り扱いのある酒販店やバーで購入できます。

ノンアルジンは自宅でどう楽しむのが定番ですか?

トニックウォーター割りの「ノンアルジントニック」が最も定番です。氷をたっぷり使い、柑橘やハーブを添えると香りが引き立ちます。

海外ブランドのSeedlipは日本でも買えますか?

輸入食品を扱う酒販店やオンラインストアの一部で取り扱いがありますが、常時の入手性は店舗によって異なります。購入前に取扱店の在庫状況を確認してください。

まとめ

ノンアルジンは、ボタニカルを蒸留・抽出することでアルコールを一度も経由せずに香りを組み立てる、蒸留酒の代わりになる一杯です。2015年のSeedlipの登場を起点に世界的な潮流となり、日本国内でもNEMA・GINNIE・THE HERBALIST YASOのように製法と原材料を公式に公開するブランドが育っています。価格はノンアルビールより高めですが、その背景にはボタニカルを個別に処理する手間のかかる蒸留工程があります。まずはトニックウォーター割りから、自分の好みに合うボタニカルの香りを探してみてください。

参考文献

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